ワタを編む - Concept -

まったく新しいコットンがゆえに

こうしてやっとの思いで完成させたikaeroですが、生地になっただけではまだみなさんにお届けすることはできません。出来上がった生地には、次に「染色」という工程が待っています。

生地を染めるおもな方法は、生地になる前に染める「先染め」と、生地にしてから染める「後染め」があります。糸の段階で染める先染めは、生地になった時に生まれる独特の風合いが魅力。また後染めにも、ムラなく均一に仕上がるというメリットがあります。

糸を使わないikaeroは必然的に後染めになるのですが、この時、ikaeroの大きな魅力である“軽さ”がハードルとなりました。

軽さがなぜ? と思うでしょうか。実は、綿生地の単位は基本的にすべて重さで決められています。よくデニムやTシャツなどで厚みを表すように使われている「オンス」も、本来は重さの単位。そのためikaero 1枚あたりのサイズも重さで決められていますし、さらに幅は機械のサイズでおのずと決まってくるので、一面積あたりの重量が軽ければ軽いほど、一単位あたりの長さは長くなるのです。

ikaeroの軽さはティッシュぺーパーに例えられるほどですから、長さも規格外に。さらにはそのうすくやわらかな手触りとふんわりとしたボリューム感こそが、ikaeroの一番の魅力です。その特徴を守りながら、シワや染めムラのないように染めるのは非常に難しい作業となりました。通常の綿生地を染める場合、生地は機械の中を巡りながら、染料の入った薬液の中を何度もくぐるのですが、その過程でikaeroはどうしても生地が絡まり、表面が傷んでしまったのです。

試行錯誤の結果に辿りついたのは、たっぷりの水流の中で絶えず生地を泳がせながら染める方法。通常より手間ひまは増えてしまうのですが、これが長くデリケートなikaeroにはこれがぴったりだったのです。

棉そのものを思わせるやわらかさと、それを引き立てるやさしい色みは、幾度の失敗にも諦めず挑戦し続けた職人たちの情熱のたまものといえるでしょう。

もちろんそれは染色だけのことではありません。「糸」のスペシャリストである私たちと、最新技術との出会いから生まれたikaeroですが、その道のりを支えたのはたくさんの“人の手”です。

今までにない、まったく新しいコットンを作る――。この大きな挑戦が結んだたくさんの想いをのせて。私たちは、まだ誰も体験したことのないやさしさと心地よさを届けていきます。

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